コラム

表計算ソフト×システムで「活・表計算ソフト」

2021/10/01

表計算ソフトはほとんどの企業で利用されており、非常に利便性が高いツールです。個人的にちょっとしたデータ整理に使うもよし、業務レベルで管理や分析に使うもよし、「システムを入れるくらいなら」と、表計算ソフトで対応している方も多いのではないのでしょうか。
ただ、いくら便利な表計算ソフトでも万能ではなく、向き・不向きがあります。使いようによっては属人化問題に発展することもあるため、業務の標準化にあたり「脱・表計算ソフト」を掲げる企業も少なくありません。
しかし、表計算ソフトを一掃することが本当に得策なのでしょうか?

表計算ソフトのメリット

まずは表計算ソフトのメリットを見ていきましょう。

1. 費用が掛からず、手軽に使える

システムを導入するとなると、パッケージシステムであってもそれなりに費用が掛かります。しかし、表計算ソフトはPCに標準で搭載されていることが多いため、別途費用が掛かることなく利用することができます。

2. 使い慣れている人が多い

通常システムを使い始める際、有識者による教育が必要不可欠ですが、表計算ソフトの場合、既に使用している、あるいは使ったことがあるという人がほとんどです。

3. 業務に合わせて作りこめる

業務に合っているかどうかは非常に重要なポイントです。スクラッチ開発であれば問題ありませんが、既存のパッケージソフトだと汎用的に作られているため、業務とのギャップが大なり小なり発生してしまいます。対して表計算ソフトは関数やマクロを活用することで、より業務に合わせた形で管理することが可能です。  
 

表計算ソフトのデメリット

1. 大量のデータ管理に向いていない

表計算ソフトは保存できるデータ量に限界があり、増えれば増えるほど重くなります。データ量が多くなると読み込みに時間が掛かったり、重すぎてまともに作業ができなくなったりします。そのため、短期的なデータの管理・分析なら使い勝手は良いですが、中長期的なデータの管理・分析には向きません。

2. 複数人での利用に向いていない

表計算ソフトは複数人で同時に編集することができないため、手違いで最新情報に更新されずに保存されてしまったり、ファイルが破損してしまっていたりなど、予期せぬトラブルの発生に繋がりかねません。複数人で運用する業務や、複数の部門に渡る業務なら、どのように運用を行うか対策が必要です。

3. 作りこみすぎたが故に属人化の原因に

関数やマクロの活用は便利な一面、属人化問題の原因になり得ます。実際に多くの食品製造業にヒアリングすると、共通のお困りごととして挙がることの多い問題です。業務を効率化させるために得意な社員が独自に作りこんだ表計算ソフトで管理を行っていたものの、非常に複雑なファイルとなってしまったため、作成した本人以外は誰も扱えず、結果的に業務の属人化や非効率化に繋がってしまうという悪循環……さらに作成者が休職せざるを得ない状況や退職となってしまえば、分かるものが誰もいなくなり、業務に支障が出てしまいます。  
 

表計算ソフト×システムで「活・表計算ソフト」

このように、多くのデータを扱う業務や複雑になりやすい業務は、表計算ソフトでの管理には向きません。 とはいえ、表計算ソフトを一掃して全てシステム化すればいいという問題でもありません。システム化には費用が掛かりますし、使い慣れるまで時間が掛かります。現場で利用する社員が「業務に合わないから」「使いにくいから」と使わなくなってしまえば元も子もありません。 そのため、無理に一から十までシステム化するよりも、慣れ親しんだ表計算ソフトの良さを活かしシステム化することで、費用を抑えつつ、業務を標準化することができます。 表計算ソフト×システム化として、食品メーカーの需給調整業務における事例を簡単に紹介します。

食品加工メーカーY社様の事例

課題
・10~15シートの複雑な表計算ソフトで管理していたため、誰にも任せられずに属人化。
・販売データや製造データを基幹システムから表計算ソフトに手入力。1~2時間程かかり、更新作業が煩雑に。また、更新頻度が低くなったことで需給調整の精度も低下。

改善
・複数のデータをシステム上で一元管理。
・システムにより基幹システムのデータ取込みを自動化。
・人の意思が入る生産計画などは、入力・修正しやすいようにExcelで作成し、システムへ一括取込み。

効果
・システム上で一元管理できるようになったことで、複雑な表計算ソフトでの管理やデータ更新は必要なくなり、誰にでも業務を任せられるように。
・よりリアルタイムな需給バランスを把握でき、在庫の適正化に繋がった。

(詳細は「食品加工メーカーY社 導入事例」へ)  
 

まとめ

「全てシステム化したから便利になる・改善される」と考えるのは危険です。表計算ソフトが全ての元凶というわけではなく、表計算ソフトを万能ツールとして多用し、一名にしか扱えない運用方法になってしまっていることが問題です。業務を見直す際は、システム化すべき部分か、あるいは表計算ソフトを活用すべき部分かどうか見極めながら、両方の強みをうまく活用してあげられると良いですね。


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例:需給調整

筆者:坂口

2017年入社
営業担当
「需っ給さん」をはじめとするパッケージ商品ご提案。
趣味:映画・ミュージカル鑑賞